
麻のコンクリートを3Dプリントした住宅が完成…するも直後に取り壊しに
ヘンプクリートの3Dプリント住宅に思わぬ欠陥が
いまや世界中で建設され始めている3Dプリンター住宅。だが、新しい技術には当然、予想外の「失敗」もつきものだ。
それはアメリカ・アイオワ州において起こった。
2023年5月、同州では州内初の3Dプリント住宅のプリントが開始された。大学や企業が協働して取り組んでいたこのプロジェクトにおいて、3Dプリント素材となったのはヘンプクリート。これは麻と石灰や砂で形成された生物複合材料だった。
引用/https://www.youtube.com/watch?v=hKVBDSxDUxA
2023年末までに10棟の建設が決まっていた中、まずプリントされた第一棟目。見た感じ、何の問題なさそう、だったのだが、感謝祭の前の週末にそこを訪れたのは入居者ではなくブルドーザーだった。そう、この建てたばかりのヘンプクリートの3Dプリント住宅を取り壊しにきたのだ。
原因はヘンプクリートの圧縮強度が不足していたことだった。事前のテストではこの麻のコンクリートは6000〜8000PSIの圧縮強度に達することができていたらしいが、実際に出力してみたところ、住宅建築に必要最低の5000PSIも満たしていなかったという。
引用/https://www.youtube.com/watch?v=hKVBDSxDUxA
これは非常に残念な結果だ。もとよりこのプログラムは学生との連携によって成り立っており、学生たちが麻の特性を研究し、企業と提携して建設カリキュラムを立ち上げることが一義的な目標だった。まだ学習途上の学生ゆえの失敗、ということか。しかしそこは学生らしく、今回の失敗を前にしても希望を捨ててはいないようだ。
チームは早くもヘンプクリートをゼロから作り直したとのこと。今度は確実に5000PSIの要件は満たすことができそうとのこと。来春には再びヘンプクリート住宅の建設に着手する予定だという。
引用/https://www.youtube.com/watch?v=hKVBDSxDUxA
いずれにせよ失敗は成功の母だ。いつも華々しい成功物語ばかりを紹介しているが、そうした成功物語の裏には無数の失敗が存在している。何事においてもトライ&エラーを避けることはできないのだ。