Healshapeの「3Dプリント乳房」は乳がん患者を救うか?|バイオ3Dプリント技術によって飛躍する再生医療
乳房切除手術を受けた女性に乳腺再建の機会を
バイオ3Dプリント技術を用いた再生医療の発展が著しい。
とりわけ最近話題となったのが、3Dバイオプリント乳房の出力だ。
研究しているのはフランスの再生医療会社Healshape。現在、Healshapeは患者自身の細胞を使用して乳腺再建用の3Dバイオプリント豊胸手術の生産を拡大するために680万ドルの資金調達を準備している。
現在は前臨床段階にあり、15人の患者のサンプルで今後2年以内に臨床試験を開始することを望んでいるようだ。
画像引用:Healshape
Healshapeが使用している技術はリヨン大学の超分子化学・生化学研究所が3D皮膚モデルを製造する企業であるLabSkins Creationsとともに開発された技術で、患者から採取された細胞を再組織することによって乳房の形を造形していく。
使用されるインクは天然の吸収性ヒドロゲルを使用したバイオプロテーゼでありこれはHealshapeが2020年に開発したものだ。このバイオプリントされたインプラントは基本的に患者の解剖学的構造に基づくもので、生物学的インクから作られているためその組成は人間の組織の組成に近い。そのため、プロテーゼが配置されると、脂肪の移動によって患者自身の細胞がインプラントにコロニーを形成し、脂肪組織の自然な成長とバイオプロテーゼの完全な吸収が可能になるという。Healshapeによれば、移植後、数ヶ月以内に身体は平常な状態を取り戻すことができるようだ。
画像引用:Healshape
Healshapeが想定しているのは、何らかの疾病により乳房切除手術を受けた女性に、乳腺を再建する機会を提供することだ。実際、今日では乳がんと診断された女性のほぼ半数が乳房を切除するための外科処置を受けている。もちろん、命を守ることが最優先ではあるが、乳房を失ったことにより精神的なダメージを受け取る方も少なくない。
今回の技術では痕跡も残さずに6〜9ヶ月内に乳房を回復することができる。HealshapeのCEOは「女性が自分のイメージを受け入れ、再び自分の体に満足するために(この技術が)役立つことを願っている」と述べており、この技術が医療の現場になるべく早く導入されることを目指しているようだ。