3Dプリント建築の先進都市ドバイで私有の3Dプリント別荘の建設許可が発行|石油都市からテクノロジーの楽園へ
3Dプリント建築の先進都市ドバイ
ドバイといえば先鋭的で未来的な建築物が多数ある進歩的な都市の筆頭だが、実は3Dプリント建築においても重要な都市として知られている。
ドバイの街中にはすでに3Dプリントされた建築物が多数存在する。早くも2016年にドバイは世界初の3Dプリントオフィスである「未来のオフィス」を発表しており、以降もこの成功に基づいて、ドバイ市には2階建てのイノベーションセンターや、ドローン研究所、あるいは以前に記事で紹介したディオールのコンセプトストアなどが3Dプリント建築技術によってつくられてきた。
2016年に完成した世界初の3Dプリントオフィス
(画像引用)DIOR
その背景には豊富な石油資源に依存してきた同地域が、化石燃料の供給がピークに達したことを受け、新たな産業に目を向けざるを得なくなっているという事情もある。オイルからテクノロジーへ。ドバイが3Dプリント建築に熱心なのも、同市をテクノロジーの楽編として創造してこうという大規模なビジョンの一部なのだ。
(画像引用)Apis Cor
事実、最近ドバイ市は、完全にAC経由で建設される私有の別荘の初の建設許可を発行。このプロジェクトは、ドバイ3Dプリンティング戦略2030で概説されているドバイの長期ビジョンに沿ったものであり、2030年までに3Dテクノロジーを使用して実装および印刷される建物の割合を建設全体の最低25パーセント以上組み込むことを目標として掲げたものだ。
すでに建設が始まっているプライベート住宅用ヴィラは、高さ4メートルに達し、1回のセッションでプリントされるという。構造全体に地元産のコンクリートが使用されており、2023年10月までに完成する予定とのことだ。
これはドバイの建設業界にとってもポジティブな効果をもたらすかもしれない。ドバイの建設業界は、劣悪な待遇を受けている移民労働力に大きく依存しており、過去に彼らから待遇に関する抗議を受けたこともあった。3Dプリンティング技術の導入は、現場での労働力の必要性を軽減することで、労働力の搾取を代替するアプローチを提供する可能性がある。
もちろん、サプライチェーンにも影響があり、また建設廃棄物を最小限に抑えることもできるため、環境保全にも効果がある。おそらく今後10年ほどで3Dプリント建築は世界的にもグッと身近な存在になっていくに違いない。
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