3Dプリント技術が「動物実験」を廃止させる?|先端技術が新薬実験の現場をアップデート
3Dプリント「ボディオンチップ」の可能性
「3Dプリント技術によって新薬開発のための動物実験を廃止できるかもしれない」。そんなニュースに世界が騒ついている。
なんでもエディンバラ大学の研究者たちが3Dプリント「ボディオンチップ」の開発に成功したという。そしてその3Dプリント「ボディオンチップ」が、今後、動物の生体に変わってさまざまな種類の薬のテストに使用されることが期待されているらしい。
この3Dプリント「ボディオンチップ」とは、薬を投与した際に各臓器がいかに挙動するかを明らかにするもの。個々のコンポーネントは、人間の心臓、脳、腎臓、肺、肝臓を再現するように設計されており、さまざまな臓器区画を接続するチャネルは、薬剤を拡散するために使用されるという。
写真: Murdo MacLeod/The Guardian
制御された環境内で、この毛細管システムは、新しい医療基質が人間の循環系を通じてどのように、どこに分布するか、臓器がそれらにどのように反応するか、薬物が個々の臓器にどのくらいの時間留まるかを示す。それによって薬品が人体内でいかに作用していくかという判断を研究者に可能にするそうだ。
なんでも3Dプリント「ボディオンチップ」を動物に代えて使用することの利点は、必ずしも人道的な観点からの美点に限るものではないようだ。研究チームによれば、3Dプリント「ボディオンチップ」を使用することで、心臓病、がん、神経障害、その他の疾患の兆候を早期に検出できるようになるという。したがって薬物検査そのものの大幅な進歩を意味することになりそうなのだ。
動物実験を省略することはさらにコストの削減や医薬品の導入の迅速化にも繋がりうるとのこと。医療の現場を改善させる新技術の今後に期待が高まる。