ルワンダの医療を改革する世界初のワイヤレス3Dスキャナー「Artec Leo」
内戦から30年、いまなお残る医療的課題を改善する3Dプリント技術
凄惨を極めたルワンダ内戦、たった100日間で80万人超が犠牲になったジェノサイドの悲劇から、今年で30年になる。現在、ルワンダは経済的にも「奇跡」と称されるほどの急成長を遂げており、治安もまた比較的に安定しているものの、今なお貧困をはじめとする戦争の傷跡に苦しんでいる人は少なくない。
人々の苦しみをテクノロジーによって少しでも癒したい。そのような取り組みの一つが、3Dスキャンハードウェアのオリジナル機器メーカーの1つであるArtec 3Dの試みだ。同社は、ルワンダの医療機器のカスタマイズを中心としたプロジェクトで非政府組織ヒューマニティ&インクルージョン(HI)と提携し、ルワンダのHI衛生兵に世界初のワイヤレス3Dスキャナー「Artec Leo」を提供している。
Leoは、ルワンダの医療専門家が患者の腕や脚などをすばやくスキャンし、最終的にカスタム装具と義肢を製造するために必要なデータを作成することを可能にするものだ。特に、HIが取り組もうとしているのは、この3Dスキャナーとアディティブマニュファクチャリング(AM)を使用して、子供の成長と並行して簡単に置き換えることができる義肢や装具を生産することだ。
Artec 3Dチームのメンバーは、スキャン方法とデータ処理、またハードウェアのトラブルシューティングに関して、5日間のプロセスで現地スタッフを訓練するためにルワンダに向かった。Artec 3Dによれば、HIのスタッフはLeoが以前に使用していた低コストのデバイスよりもはるかに使いやすいことを認めているとのことだ。
画像/Artec 3D
このプロジェクトに関するプレスリリースで、Artec 3DのCEO兼社長であるArt Yukhinは以下のように述べている。
「使いやすさと直感的なインターフェースを備えたArtec Leoのような最先端の技術を活用し、特に遠隔地の医療スタッフが人々にカスタマイズされたソリューションを効率的に提供できるようにすることで、現場に大きな影響を与えることができます。このようなインパクトのある人道的努力のためにテクノロジーが活用されているのを目撃するのは心強いです。HIとの最初のプロジェクトの成功に続いて、私たちは他の地域でこのような有望な経験を再現していきたいと考えています」
3Dプリント技術を用いた迅速な製造技術は、今後数年間で医療専門職を真に変革する可能性がある。これは世界中の患者の状況を劇的に改善し、すべての人々が必要な医療装具へアクセスすることを実現させるものでもある。
同様にこれは今後の3D医療技術部門における巨大なサプライチェーンの構築の可能性をも示唆している。世界で最も先進的な工業国は、2020年代にサプライチェーンの回復力の取り組みの最前線に立っていますが、ルワンダのような国は、もちろん同様の取り組みをより緊急に必要としている。Artec 3Dの取り組みを応援したい。
Artec 3Dウェブサイト:https://www.artec3d.com/