どうする? フィラメントの吸湿性

SK本舗は基本的に光造形方式の3Dプリンターを扱っているが、今回は熱溶解積層方式(以下、FDM)の3Dプリンターを併用されている方のために、FDMのプリント素材となるフィラメントに関する情報をお届けしたい。

おそらく、FDMを使用されている方は誰しもフィラメントの吸湿性に悩んだことがあるのではないだろうか。湿気はフィラメントの大敵であり、特に日本のような多湿な環境においては、フィラメントを湿度から守ることが、非常に重要な取り組みとなってくる。

 

 

そこで、ここではフィラメントの吸湿性によって起こるトラブルや、そうしたトラブルを回避するための知識について、いくつか紹介してみようと思う。FDMユーザーの方はぜひご参考にしていただければ幸いだ。

 

吸湿によって起こるトラブル どんなフィラメントが吸湿しやすい?

まず、ほとんどのフィラメントは吸湿性だ。つまり、空気中に湿度がある場合、フィラメントは自然にそれを吸収することになる。時間経過により吸湿しすぎたフィラメントを使用して生じるエラーはいくつかあり、主に以下のようなことが起こるといわれている。

 

・レイヤーの気泡

・押出機のエラー

・出力品が脆く、壊れやすくなる

・ヒートベッドへの密着性が悪くなる

 

 

 

こうした事態は是非とも避けたい。その上で、まずはどのようなフィラメントを使うと吸湿による劣化が起こりやすいかを知っておく必要がある。上にも書いたように、あらゆるフィラメントが吸湿性を持っており、適切な保管、必要に応じた感想が必要とされるが、中でも以下の素材は吸湿性が高いとされている。

 

・ABS

・ナイロン

・ポリカーボネート

・PETG

・PVA

・TPU

 

では逆に吸湿性が相対的に低いとされているのはどのような素材のフィラメントだろうか。以下の三つの素材は、他の素材に比べると吸湿性による問題が発生しにくいといわれている。

 

・PLA

・ASA

・ポリプロピレン

 

このように、フィラメントの素材によって吸湿性にも差がある。まずはここを押さえた上で、以下では吸湿によるトラブルを回避する方法を紹介していきたい。

 

予防、検出、乾燥

さて、吸湿によるフィラメントの劣化、あるいはその劣化による出力の不具合を回避する上で、まず考えるべきは「予防」だ。

一般的にこの「予防」において最も重要だとされているのは、フィラメントの乾燥状態を維持するために真空において密封することとされている。現在ではフィラメント保存用の真空ケースなども販売されている。

 

 

あるいは市販の防湿庫を使用したり、タッパなどに除湿剤を入れて使用するという方法もある。電気式の防湿庫は一般にカメラレンズの保管などに使われているもので、除湿剤の入れ替えなどをしなくていいため便利だが、ややお値段は張る。ここはそれぞれの判断だろう。

 

 

さて、こうした「予防」をきちんと行った上で、次に考えるのはすでに吸湿してしまった、つまり水分を含んでしまったフィラメントの「乾燥」である。この場合はまず、そのフィラメントが水分を含んでいるかどうかを「検出」しなければならない。

そのための簡単なテスト方法としては、そのフィラメントをノズルを通して押してみて、その際にパチパチという音がしないか耳を済ませるという方法だ。水分を含んでしまったフィラメントはノズルの先から出てくるとき、その水分が水蒸気破裂を起こすからである。ちなみに、この水蒸気破裂が造形面を荒らす原因にもなる。また、プリントした出力品から蒸気が出ているような場合も、フィラメントが水分を含んでいるというサインだ。

このように水分を含んでしまったフィラメントを再び問題なく使うには「乾燥」させなければならないのだが、この「乾燥」の方法は簡単だ。使用するのはオーブンで、スプールをオーブンに入れて、約100~120度(華氏)に設定し、4~6時間ほど放置すればいいのだ。なお、さらに乾燥力を高めるためには乾燥剤をオーブンに一緒にいれることで効果がさらに上がるとも言われている。

 

 

また、家にオーブンがないという方は、電子レンジを使うこともできるようだが、この場合、フィラメントが曲がったり、くっついてしまったりするケースもあると言われているので注意が必要である。オーブンに関しても、設定次第ではフィラメントが溶けてしまったり焦げてしまったりするケースもあるらしいので、くれぐれも慎重に行って欲しい。

 

3Dプリントの成功のためには素材の品質管理が大切

さて、まとめると、フィラメントには吸湿性の高い素材と低い素材のものがあり、吸湿を防ぐ上では保管の仕方が重要である。そして、もし吸湿してしまった場合は、オーブンや電子レンジを使って乾燥することで、また使えるようになるということだ。つまり、「予防」「検出」「乾燥」、この三つが重要ということになる。

いずれにしても、良い出力品をつくりだすためには素材の質の維持が欠かせない。もちろん、光造形機におけるレジンに関してもそれは一緒だ。レジンの取り扱いに関する注意事項に関しては以下の記事にまとめてあるので、是非ご参考にして欲しい。

 

レジンの使用にあたって注意すべき七ヶ条

レジンの使用にあたって注意すべき七ヶ条

 

(参考記事)

Hygroscopy (3D Printing): What It Is & How to Deal With It

https://all3dp.com/2/hygrosopy-3d-printing-guide/