(出所:スギノマシン)

礼に始まり礼に終わる。どうも合氣道初段、広報エリナです。
秋の味覚を堪能しすぎて最近ちょっと太ったぞ、おすおすっ!!(ヤケ)

皆さんもご存知のように、いまや金属も3Dプリンターで出力可能な時代となった。とはいえ未だ金属3Dプリンターは工場などでの使用がメインあり、個人使用となるとちょっと敷居が高い。ありていに言えば、まだその実態がよく分からない(私を含む)。

とはいえその技術進歩は著しい。また低価格化も進んでいるようで、つい先日テックショップジャパンが金属造形可能な3Dプリンターを初めて試験導入し話題になった。このテックショップジャパンでは会員であれば、誰もがそこに置かれている工作機械を自由に使えるため、これは今後、金属3Dプリンターの一般人への普及を大いに促すことになるのではないだろうか。

そこで今回は知られざる金属3Dプリンターの世界を少し覗いてみたいと思う。

都産技研 金属3Dプリンターによる造形

金属3Dプリンターはなぜなかなか普及しないのか

さて、奇しくも10月21日に発売された雑誌『機械技術』では、「金属3Dプリンタが拓くモノづくり」なる特集が組まれていた。どうやら、さまざまなタイプの金属3Dプリンターをはじめ各種金属粉末、ソフトウエアなどの周辺技術が紹介されているようだ。

画像:機械技術2019年11月号

勇んで読んでみたが、専門的な言葉が並んでいる。金属3Dプリンタによる特異組織形成、トポロジー最適化のカツヨウホウ、サイテキラティスコウゾウノカイハツ・・・む、寝てないぞ・・・! 専門誌だから当然といえば当然だが、これはどうも難しい。このあたりの話はとりあえず今回は置いておき(横に置くジェスチャー)、ここではまず基礎的な話をするとしよう(今後、勉強します)。

まず何より重要なのは、金属3Dプリンターで何を作ることができるのか? ということだろう。 もっとも使われているのは航空宇宙業界や自動車業界、医療業界においてのようだ。アメリカのゼネラル・エレクトリック傘下の企業が航空機エンジンの部品などを金属3Dプリンターで製造した、なんてニュースもあった。

ただ、これはすでに数年前のニュースであり、こうした巨大な機械の部品製造で3Dプリンターがどんどん大活躍していくのか! とも思われたものの、実は普及はあまり進んでいない。その原因は金属3Dプリンターが高価格であることだ。3Dプリンターの世界出荷台数においても、金属3Dプリンターの出荷台数は全体の1%にも満たないという。

もちろん高価格というハードルを乗り越えて、金属3Dプリンターを活用している企業も存在する。日本国内においては例えば山口県の伸和精工が、金属3Dプリンターを使った超小型人工衛星の部品製作に参入することを10月に発表した。

(画像引用:伸和精工)

こうした事例はあるものの、ただやはり金属3Dプリンターが持つポテンシャルを考えれば、導入している企業はほんの一握り。

現在、国内外のメーカーが小型の金属3Dプリンターをせっせと低価格で展開できる金属3Dプリンターを開発中であり、現状では最安値で3000万円ほど。これが1000万円以下になったとき爆発的に普及するのではないか、とも見込まれており期待が高まる。

中でも注目したいメーカーは日本のニコンだ。今年の4月に冷蔵庫程度のサイズの金属3DプリンターLasermeister 100Aの発売を発表した。このサイズなら大きな工場などではなくとも、オフィスや下手をすれば家庭にでも置けてしまう。自宅で金属の立体物をプリントするなんて夢のような世界が、すでに到来しているのだ(私は買えないが)。

(出典:ニコン)

スギノマシンも同様にDED(Direct Energy Deposition)方式の金属積層造形機能を備えた、小型同時5軸マシニングセンタ「XtenDED」を2020年4月に発売することを発表した。これは業界最小クラスになると言われており、来年発売された暁には金属3Dプリンター業界における日本のプレゼンスを高めてくれることだろう。

(出典:スギノマシン)

金属3Dプリンターの種類

ちなみに金属3Dプリンターにはいくつかの種類がある。一般的なのは2014年に特許が満了したレーザー焼結法(SLS)という方式のもので、その他に直接金属レーザー焼結法(DMLS)、レーザー溶融法(SML)、電子ビーム溶解法(EBM)などがある。それぞれの特徴を見てみたい。

・レーザー焼結法(SLS)

SLSの基本的な製法としては、粉末状の金属材料にレーザービームを照射して、焼結して物体にするというものだ。アメリカの発明家であるカール・R.デッカード博士によって開発された。

材料次第では最大100%の密度で、従来の物質本来が持つ材質と同等に近い材料特性を実現することができることが特長で、これすなわち、最終品として使用することができるレベルの造形が可能であるということだそうだ。一方で欠点として質感にざらつきがあるという問題もあるらしい。

・直接金属レーザー焼結法(DMLS)

続いてDMLSの基本的な仕組みだが、実はレーザー焼結法とほとんど一緒である。異なるのはレーザービームの原理であり、専門的な部分ではSLSは炭酸ガスレーザーが使用されるところが、DMLSではイッテルビウムレーザーが使用されるそうだ。私にはどちらにも聞き覚えがない。知っているのはカズレーサーくらいだ。

とにかくこのレーザーの違いによって特長もまた変わってくるようで、このDMLSの最大のメリットは、ほとんどすべての金属合金を使用することができる点だと言われている。この利点から航空宇宙産業などにおいても重宝されており、なんとあの有名な起業家イーロン・マスクのSpaceXのロケットエンジンSuperDracoのパーツが、DMLS方式の3Dプリンターによって作られたのだとか。

・レーザー溶融法(SLM)

上記したSLSやDMLSにおいてはレーザービームによる「焼結」により物体を作るというのが基本原理となっていたが、このSLMはレーザーによる「溶融」によって金属を造形していくという技術だ。

開発したのは、欧州最大の研究開発機関フラウンホーファー協会の研究所。2000年代初頭から商用利用が開始されているらしい。

特長としては高精度で機械的強度を持つ金属パーツが作れる点。デジタルデータからダイレクトに金属パーツが作れるので、これまでの方法よりも出力時間を短縮する効果も期待できるそうだ。

・電子ビーム溶解法(EBM)

これまでの3つの方式はいずれもレーザービームを使用するものだったが、このEBMにおいては電子ビームを使用するという点がその特徴となる。

レーザーとは要するに光子の粒子線だが、実は光子と比べたとき電子は質量が大きく波動性よりも粒子性がはるかに高い。そのため回折や干渉が非常に弱く、集光性は光よりも遥かに勝っているらしいのだ。

難しい説明になってしまったが、つまるところレーザーよりも高出力、高速であるということ。代表的なメーカーとしてはスウェーデンのARCAM社があり、整形外科用のインプラントや航空宇宙産業のパーツ生産で大活躍している。

まとめ

いかがだっただろうか。金属3Dプリンターの世界が奥深いことをご理解いただけたと思う。

金属3Dプリンターは最終品として扱うことができるレベルの造形が可能な技術であることから、すでに航空宇宙業界や自動車業界、医療業界などでは、積極的に導入されている。その一方で、書いたようにいまだ高価格であることから、一般家庭やオフィスへの普及には至ってない。今後の開発によって低価格化が進めば、SK本舗でも金属3Dプリンターを販売できる日が来るかもしれない。

今はしばしその日を待望しながら、技術の進歩に注視し続けるとしよう。

以上、広報エリナでした!