世界経済を激変させたコロナ禍

2020年より続くコロナ禍において、健康的、衛生的なリスクと並び、もっとも懸念されてきたのが、それがもたらす経済的なリスクだ。二度目の緊急事態宣言下にある東京の街を歩いてみれば、すでに閉店を余儀なくされ、テナント募集の張り紙が付された「旧店舗」が多く目につく。最近も銀座の高級モール「GINZA SIX」より、資生堂を始めとする7店が撤退したことが話題となった。

 

聖地・銀座に大異変「化粧品」の厳しすぎる事情(東洋経済)

https://toyokeizai.net/articles/-/408150

 

もちろん、業種、業態、サービス内容によっても、コロナ禍から直接的に受ける影響の度合いは違うだろう。しかし、長い目で見れば、影響を受けない職種はない。経済状況は各分野が絡まり合って変化していくものであり、「対岸の火事」を気取ることができる人など、基本的に存在しない。もちろん、この負の状況を利用することで収入を増している人もいるが、今後はどうなるか不透明だ。

そんな中、やはり3Dプリンターを始めとするAM技術関連業界にもパンデミックによる大きな影響が出ていることが、ある調査で分かった。AM技術とは「Additive Manufacturing」の略であり、「付加製造技術」のこと。その技術を代表するテクノロジーが3Dプリンターである。

 

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調査を行なったのはアレクサンダー・ダニエル・グローバル社(https://www.alexanderdanielsglobal.com/)。2月1日に同社の調査チームが発表した調査書によると、2020年からの1年間で、業界全体が激動していたことが分かったそうだ。

 

求人が激減、大手が経営難の一方で

まず変わったのは求職者数と採用企業数。こちらは2019年と比較して、なんと60%減少している。特に大規模で実績のあるAM企業であるストラタシス社や3D Systemsなどはすでにレイオフ(従業員の一時解雇)を実施したそうだ。業界の求人倍率も2018年から19年にかけては12:1から4.5:1へと大幅下降していたにも関わらず、20年は22:1と急激に上昇してしまっている。

 

画像引用:https://3dprint.com/278279/how-has-covid-19-impacted-3d-printing-jobs/

 

また給与面でも全体としては減少傾向にあり、全体としてマイナス状況のようだ。

一方で、同報告書は明るいデータも報告している。先に触れたように、大手AM企業の経営が難航している中で、収益依存度の低い、技術開発に重きを置いた新興企業は2020年においても成長を続けており、また採用募集も増えているという。給与に関しても、ソフトウェアの操作や機械工学に長けた専門的スキルを持つワーカーに関しては、依然として需要よりも供給が少ないため、給与は増加傾向にあるとのことだ。

大手企業が後退する中で、スタートアップ系企業は成長を続けており、コロナ禍をきっかけに業界のバランスが変わりつつあるのかもしれない。

 

今後は専門技術習得が鍵に

冒頭でも書いたように、コロナ禍はあらゆる業種に影響をもたらしている。ある意味では今後、専門技術の有無が以前よりもさらに重要な意味を持つ時代へとなっていくのかもしれない。それによって生じるだろう格差社会には政治レベルでのきちんとした対応が求められることは言うまでもないが、一方で自衛を行うことも必要だ。そのためにも3Dプリントを始めとするAM系の技術習得が、今後、大きく役立っていくことは間違いないだろう。

 

(SK太郎)