礼に始まり礼に終わる。どうも合氣道初段、SK本舗の広報エリナです。おすおすっ!

前回、この連載にて掲載した、「3Dプリンターを購入して実際に使ってみよう!」について、初心者の方からご好評を頂いたので、さらに詳しく踏み込んでみようと思う。今回は前の記事では軽くでしか紹介していなかった、Sonic Miniを1から使ってみた上での「つまずきポイント」を紹介してみたい

 

Phrozen Sonic Mini_PZSONICMINI

 

読んで頂ければおそらく、私と同じようなところでつまずいた、と頷いて頂ける方もいるだろう。あるいは今後、初めて使われるという方にとっては、あらかじめこの記事に目を通しておくことによって、その初使用が多少なりともスムーズになるはずだ。

というわけで、以下、セッティング、データ準備、出力後の処理、それぞれの場面ごとの「つまずきポイント」を紹介 していこうと思う。もちろん、失敗ケースの紹介とあわせて私が悪戦苦闘の末に見出した「成功のためのコツ」も付記しておいたのでご参照いただきたい。

 

セッティング 電源がなかなかつかないのは初期不良?

 さて、まずはプリンター自体のセッティングについては、以前の記事にも書いたように、基本的には電源コードをはめて電源を付けるだけなので難しくない。しかしそううまくはいかないものなのである。

 

1.電源が付かない

前回の記事に書いた通りではあるが、初めて電源を付けた際に電源がなかなか付かなかったのだ。結局、5~10分ほど待ってみたらついたのだが、私はてっきり初期不良か何かと思った。

ただ、これは聞いたところによると本機のデフォルトとのこと。なので初めは根気強く待つ必要があるが、初期不良や故障などではないので安心してほしい。

なお、レアケースではあるが、電源コード自体に不具合があるという場合もあるらしく、本当に電源がつかなかったらコードに問題がある可能性を疑ってみると良いかもしれない。

その後、1度だけ私のsonic miniの電源が付かなくなるというトラブルに見舞われた。急いでエンジニアに確認してもらったところ機体に異常は見当たらず、再度使ってみたら問題なく電源がついた。どうやらコードが抜けていただけだったようだ…エンジニア氏、時間をとらせてごめんなさい。

 

2.Z軸のキャリブレーションの仕方に戸惑う

Z軸のキャリブレーションはコピー用紙を下に挟む…といったことが通例となっており、私も前提知識として知ってはいたが、マニュアルを読むとレジンVATを設置してそのままやっても良いらしい。でもPhrozenの公式のYoutubeはキャリブレーション時に紙を挟んでいる…どっちが正しいのだろう? となったのは私だけではないようで、お問い合わせ窓口にも質問が来ている模様だ。

さて、どちらが正しいのかというとどちらも正解だ。そもそもキャリブレーションとは、「calibration=調整」という意味で、プラットフォームの高さが0の状態を調整すること。それにより0地点を起点に1層ずつ高さを上げて出力することが出来るようになる。つまり、0地点の確定にFEPフィルムを挟んで行うか、コピー用紙を挟んで行うかとなるのだが、Sonic Miniは細かいZ軸の高さの調整が出来ないのでどちらでも結果は同じである。0.1mm単位などで高さを調整できるプリンターに関しては、紙を引っ張り抵抗具合を見てより正確に0地点を決めることが出来る…ということなのだ。

 

データの準備 スライサーソフトの使い方が分からない

さて、初出力で私が挑戦したのは弊社SK本舗のSKロゴの出力だ。目指したのは下の画像のような状態。とてもカッコいい。

 

 

なお、初心者なのでひとまずサポートはつけず、プラットフォームに直付けで出してみることにした。その上でつまずいたポイントは以下である。

 

1.データはSTLデータのままでは出せない

まず、おそらく本当に0から始めた人だと頷いてもらえるかと思うのだが、拡張子「.stl」の所謂STLデータなど3次元のデータさえ手に入れれば出力できるものだと思っていた。しかし、そうではないらしい。たまたま出力作業直前にまずスライサーソフトを経由する必要があるということを聞いた私はやっとChituboxをインストールしたが、このインストールもなかなか分かりづらかった…(バージョンが一番高いものが見つかりづらくサイトをうろうろしたのである)。ちなみに付属USBに入っているものでもインストールも可能だが、バージョンが古い場合もあるそうで要注意だ。

 

2.Chituboxの使い方が分からない

無料のスライサーソフトで最も有名で、ある程度様々なメーカー・機種に対応しているものがChituboxだ。私も早速、ロゴの3DデータをChituboxで変換しようとしてみたのだが、そもそも初めてのことである。使い方が分からない。Chituboxの初心者向けの分かりやすい使い方ページがあると便利だと思った。こちらはネット記事やyoutube動画を参考にしながら進めるのが現状では良いが、近々、初心者向けにChituboxの解説記事を書いてみたい。

 

3.パラメーターの意味が分からない

初めてのChituboxに苦戦しつつ、とりあえずパラメーターの設定をすることにした。しかし、パラメーター項目名を読んでもそれぞれの役割がよく分からない。エンジニアに聞きつつネットで調べつつ試行錯誤したが、ひとまずSK水洗いレジンはデフォルトのままでOKとのことだったのでデフォルトで出すことにした。こちらについては、その後、パラメーターの解説をまとめ、以下の記事にまとめさせて頂いたので参考にしてほしい

 

3Dプリンターのパラメーターを理解しよう!広報エリナの3Dプリンター道場・第八講

 

4.保存の仕方が分からない

さて、データはこれで良いかな、となったのだが、データをどう保存したら良いのか、その仕方が分からない。そういえば3Dプリンターの場合、3Dデータは1層ずつ出力されるよなと思い出し、「スライス」というボタンを押すのが正しそう…と押したら、スライスデータが作成され、保存ボタンが登場した。スライサーソフトなんだから当たり前と言えば当たり前だが、これは3Dデータを出力する場合は「スライス」という過程を経る必要があるという前提知識がないと意外と分からないものだ。スライスとスライサーソフトについても、その後、解説記事を書いたので参考にしてほしい

 

「スライサーソフトってなに?」今さら聞けないGコードの重要性と今おすすめのスライサーソフト

 

 

出力後の処理 片付け方が分からない

さて、今回は無事に出力が成功したわけだが、3Dプリンターは出力が終わってからもしなければならないことがある。その上で私がつまずいたのは以下のポイントだった。

 

1.プラットフォームから出力物が外れない

5回の失敗を経てやっとの思いで出力物が出来上がった。しかし、今度はプラットフォームから出力物が外れない…という状況に直面することになった。え、これってもしかして出力の仕方が間違っているの? と思ったのだが、どうやらこれが普通らしい。慣れていない間やしっかりつけてしまった時は外すまでに30分~1時間格闘した時もあった。手が腱鞘炎(?)になりそうなのだが、弊社エンジニアがおすすめしているヘラがあり、こちらは試したところ確かに大変取れやすかったぞ。

 

 

2.どうやって出力物を洗浄するの?

やっとの思いで外した出力物は未硬化のレジンが付着しているため当然洗わなければいけないのだが、洗浄方法がそもそもよくわからない。今回は水洗いレジンなので水洗い可能だったため、さらさらと水で洗ってみたが、それだけだと洗浄後にべたつきが残ってしまい、触ると手が痒くなる。何度か色々な方法で試してみた結果、使い終わった歯ブラシなどでしっかり洗浄すると良かった 。調べてみると刷毛などもお勧めされているようだ。

 

3.機体の清掃方法(片付け方)が分からない

3Dプリンター本体ってどうやって清掃(片付け)すればいいんだ…と思ったときにSKの公式TwitterでRTされていた以下の記事を発見した。これをもとに自分で準備できる範囲でおこなうことにした。非常に有用な記事なので是非、皆さんも参考にしてほしい

 

はじめての3Dプリンター!造形準備と後片付けについて(やなか技術士事務所)

 

そもそもなぜレジンの洗浄はアルコールなのか? といった疑問点も個人的にはあったのだが、一般的に理解できるレベルでのかみ砕いた解説もあり、納得できるわかりやすい記事だった。どんなアルコールを使えばよいのか書いてあるのも良かった。また3Dプリンターの洗浄において一般的に使用されるのはIPAだが、IPAを利用するメリットデメリットもきちんと書かれており、これも大変参考になるので是非読んでほしい。

 

4.レジンボトルの内蓋を捨ててしまった

レジンボトルの内蓋がしっかりと閉まっており、毎回開けるの大変だなぁと思って捨ててしまったのだが、この流れで想像がついた人もいるだろう。そう、後日レジンボトルを蹴って家の床が大変なことに…(怒られたのは言うまでもない)。内蓋はレジンを溢さないためにちゃんと閉めよう。広報エリナとの約束だ。

 

その他の失敗について

ここまでセッティングから出力後の処理に至るまでの「つまずき」ポイントを書いてきたが、もちろんその過程においては数多くの失敗があった。こちらについても皆さんの後学のために列挙しておきたい。

 

1.レジン選びを間違えると出力がうまくいかない

最初、オフィスに余っている適当なレジンで出力を行ったところ、レジンが古い&出力がむずかしいレジンだったようで出力の失敗(プラットフォームにそもそもつかない)が5回ほど続き心が折れそうだった。やはり、レジンは古くないものであった方が成功率が上がる 。また、レジンの種類も重要だ。

レジンの質の問題をクリアーすることは他にもメリットがあり、露光時間不足・プラットフォームの問題など他の失敗の原因が特定しやすくなるのだ。初心者であればまずは入出庫が激しそうな人気レジンから試してみよう。中でもSK水洗いレジンはパラメーターがデフォルトの値でも出力できるということなので初心者に優しい(特に白色が使い易いとのこと)

 

SK水洗いレジン500g 『白色』_SK02W

 

2.FEPフィルムに穴が開いた…

出力1回目で出力に失敗した上にFEPフィルムに穴が開いてしまった。ということで初心者の人はFEPフィルムの予備は必ず用意しておきましょう 。FEPフィルムの取り換え方はFEPフィルムページにYoutube映像がある。これを見ながらやってみよう。

 基本的に「ご使用のプリンター機種 FEP」で検索すれば大体変え方の説明動画が出てくるのでそれを参考にしつつやってみるのがよいだろう。Phrozenの場合はこちらだ↓

 

 

3.六角レンチの準備がなかった

2と引き続きFEPフィルムの取り換えに関してだが、Phrozenの製品に関しては別途六角レンチを買う必要があるということが分かった…(付属の六角レンチはプラットフォームのネジを回せるのみ)。付属の六角レンチをなくした場合にも備えて市販のもので良いのでサイズが異なる六角レンチのセットをあらかじめ備えておくことをおすすめする 。深夜にFEPフィルムを交換しなきゃいけなくなっても、それなら安心だ。

 

出力を成功させるコツ

最後に、3Dプリンターで出力を成功させるために、私が見出した「成功のコツ」を紹介したい。

ズバリ、3Dプリンターを正しく理解することだ。それぞれの3Dプリンターの推奨環境がなぜ推奨されているのかということ、あるいはレジンのパラメーター各項目を正しく理解しておけば、どのようなときに何の数値をどの様に変更すれば良いのかが分かるようになる。

また出力失敗時のその場しのぎの対応策を知っているだけではだめだ。それはいわば対症療法のようなものであり、問題の根幹には至っていない。その対応策がなぜ有効なのかまできちんと理解しておけば、今後、別の失敗に出会った時も、柔軟に対処できるようになる。

小さな「つまずき」を勘に頼って乗り越えているだけだと、いずれ大きな「つまずき」に直面することになってしまう。もうよく分からないからいいや! と、3Dプリンターにほこりをかぶせてしまう前に、基本的なことをひとつひとつ覚えていくのが賢明だろう。急がば回れ、だ。

また、他の人の失敗を見て学ぶのも大事だ。SKショーコちゃんのTwitterやSKの記事も見て、今後の出力の参考にしてほしい!

 

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